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 去る2024年9月14日(土)〜15日(日)の2日間、ホテルライフォート札幌にて第7回北海道外科関連学会機構合同学術集会 HOPES2024が開催されました。

 本会の目玉プログラムである学生セッション2(心・血管)では、医学部5年生2名が演題発表しました。厳正なる審査の結果、山口 竜之介君(医学部5年/南田 大朗先生指導)が最優秀賞、山内 大瑚君が準優秀賞(医学部5年/齊藤 慈円先生指導)を獲得いたしました。
 更に、今回から設けられた初期研修医セッションにおいては、30数名の抄録提出の中から選出された、森 太一先生(現 勤医協中央病院初期研修中:杉木 宏司先生指導)が発表いたしました。抄録の選考においては、獲得点数が1位でした(非公表)。

 また、日本胸部外科学会JATS Case Presentation Awards2025においては、砂土居 泰生先生(北海道大学病院)が最優秀賞、庭野 陽樹(現 道立子ども総合医療・療育センター)が2位、小熊 宥統先生(北海道大学病院)が3位を獲得いたしました。この3名は、来年10月に大阪市で開催予定の第78回日本胸部外科学会定期学術集会でのCase Presentation Awards2025に推薦され演題発表予定です。加えて、日本血管外科学会JSVS U-35 Case Report Awardにおいては、伊藤 大貴先生(現 札幌孝仁会記念病院)が最優秀賞に選ばれました。

 スポンサードシンポジウム〜私の僧帽弁手術のこだわり〜においては、若狭教授から、ご自身が積み上げて構築された僧帽弁形成術の手術戦略をご提示いただき、若手心臓外科医のみならず中堅以降の心臓外科医に対しても大変有益な内容なプログラムとなりました。

 1923年(大正12年)北海道帝国大学外科学第二講座として開講した北大第二外科学講座が、開講100周年を迎えました。私達『心臓血管外科』は、1990年に「循環器外科」として第二外科より独立し、2011年に旧腫瘍外科学講座から分離した呼吸器外科グループが統合され「循環器・呼吸器外科学」と改称された後、2022年に呼吸器外科学講座の創立により、現在に至っています。
 この1世紀に及ぶ歴史を祝うべく、祝賀事業・学術事業・記念誌事業という3つの事業が進行しています。学術事業の1つとして、来る令和6(2024)年8月10日北海道大学クラーク会館にて、市民公開講座として記念学術講演会を開催することとなりました。

 この市民公開講座は二部構成となっており、第二部では心臓移植後の患者さんをゲストとして招き、治療に携わった多職種チームのメンバーとの座談会形式で、心臓移植医療について各々の立場から意見を交換します。また、予め公募した質問に対して質疑応答も行われます。

昨日、6月23日午前6時15分より放映された下記の番組に若狭教授が出演されました。
番組内で若狭教授は、北海道大学病院なみならず、日本全体の心臓移植や人工心臓治療の現状や課題、今後の展望などをお話しされています。

松本裕子の病を知る / UHB 北海道文化放送
シリーズ臓器移植のいま③〜心臓移植〜

すでに放映済ですが、下記リンクよりバックナンバーとしてご覧頂けます。

https://www.uhb.jp/program/yamaiwoshiru/?id=240623

Newsweek社が毎年発表しているアジア・太平洋領域のベスト病院ランキング『Best Specialized Hospitals Asia-Pacific 2024(BSHAP2024)』において、当院が選出されました。

Neurosurgery(神経外科学)部門15位(国内7位)
Oncology(腫瘍学)部門26位(国内8位)
Cardiac Surgery(心臓外科学)部門31位(国内10位)
Cardiology(心臓病学)部門46位(国内14位)
Pediatrics(小児科学)部門52位(国内14位)
Neurology(神経学)部門65位(国内16位)
Pulmonology(肺臓学)部門69位(国内26位)

BSHAP2024はアジア9か国を対象に9の専門分野からアジア・太平洋領域の優良な病院を選出し表彰するものです。

詳細はこちら

 2024年5月18日(土曜)、昨年に続き北海道大学大学院医学研究院 クリニカルシミュレーションセンターを会場として、令和6年度第1回手術体験セミナーおよび教室説明会が開催されました。

 3〜6年生の医学部生、初期研修医を合わせ、21名の参加を頂きました。また、それに対応すべく、学外講師5名を含む多くの講師が参加し、約4時間の手術体験セミナーとなりました。
 例年通り、あっという間の4時間が過ぎ、その間にブタ心臓と実際に使用されるものと同等の人工弁や人工血管を用いて、弁置換・冠動脈バイパス・人工血管置換などの手技を体験していただきました。
 第一線の心臓血管外科医として活躍される、市内関連施設のベテラン心臓血管外科医の皆様にも講師として参加していただき、熱心な指導を頂きました。また、普段は教えられる側である当院若手医師達もこの時ばかりは教える側に回りました。指導する立場を経験することで、新たな視点が得られたはずです。

 手術体験セミナー終了後の懇親会では、昼間の労をねぎらいつつ、普段は中々聞けない若手医師達の研修状況や将来のビジョン・キャリア形成などについて、ざっくばらんな意見交換がなされました。

 今後もこうした手術手技に実際に触れていただく機会を設け、外科、特に心臓血管外科領域の魅力を広めていきたいと考えています。

全プログラムを終えて

当教室の大学院生 高 婧雯さんの英語論文が掲載されました。

Effects of Trehalose Preconditioning on H9C2 Cell Viability and AutophagyActivation in a Model of Donation after Circulatory Death for HeartTransplantation.
Gao J, Shingu Y, Wakasa S.
Curr Issues Mol Biol. 2024 Apr 12;46(4):3353-3363. doi:10.3390/cimb46040210.
PMID: 38666940

心臓停止後の心移植(DCD)は心臓移植における臓器不足を緩和する有望な戦略です。トレハロースは自食作用(オートファジー)の誘導剤であり、虚血再灌流(IR)モデルで心臓保護効果が示されていますが、DCDにおけるIR損傷での役割は不明です。本研究では、DCDモデルにおけるトレハロースの心筋細胞の生存率と自食作用活性化への効果を評価しました。結果、虚血前にトレハロースを投与する前処理は心筋細胞の生存率を向上させ、この保護効果は自食作用の活性化によるものであることが確認されました。この結果から、DCD移植における心筋細胞の損傷防止策としてトレハロース前処理が有望であることが示唆されます。

 桜前線が待ち遠しい今日この頃、皆様お元気にお過ごしでしょうか。

 さて、例年開催させていただいております、手術体験セミナーと教室説明会を下記日程で同日開催いたします。手術体験セミナーはブタ心臓を用いたwet labo形式をとり、実際使用される人工弁や人工血管を使用した心臓血管外科手術を体験していただくことが出来ます。
 また、医局説明会では、当教室の診療の実際や心臓血管外科医としての研修システムなどについて、情報を提供させていただきます。

 参加をご希望の皆様は、下記のQRコードのリンク先であるGoogle formに必要事項を入力していただくか、下記メールアドレスまでご連絡ください。

新宮 康栄先生の論文が掲載されました。
この論文は、北海道大学病院が臨床研究中核病院として推進している「特定臨床研究」論文に相当します。

論文タイトル:食道がん手術後のL-カルニチン使用による心房細動発生率:予備的な単一群介入研究
概要:食道がん手術を受ける患者に周術期にL-カルニチンを投与した研究では、術後心房細動(POAF)の発生率が予測の24%から実際には7.7%に低下しました。また、血中脂肪酸結合蛋白質4(FABP4)レベルも平均で3.3ng/mL減少しました。この予備的研究は、L-カルニチンがPOAF発生率とFABP4レベルを減少させる可能性があることを示唆しており、将来の研究の計画に貢献することが期待されます。

Incidence of atrial fibrillation after esophageal cancer surgery with L-carnitine use:a preliminary single-group interventional study.
Shingu Y, Yokota I, Shichinohe T, Murakami S, Ebihara Y, Kurashima Y, Hirano S, Wakasa S.
Surg Today. 2024 Feb 23. doi: 10.1007/s00595-024-02802-4.
Online ahead of print.
PMID: 38388906

 令和5(2023)年11月17日16時より、札幌開成中等教育学校においてアウトリーチ活動を行いました。
 この活動は、当教室の新宮康栄講師主導で進められている、心筋保護・冬眠心筋に関する研究が、公益財団法人 秋山記念生命科学振興財団の研究助成を受けたことにより企画・実施されました。


 「北大から心臓移植のエキスパートが来ます!」と称された、この出張授業形式の活動は、中高生約80名と同校教職員数名の参加を得ました。
道内唯一の心臓移植実施施設である当教室から、心臓移植と補助人工心臓治療の臨床経験豊富な大岡診療講師と基礎研究部門のリーダーである新宮講師、補助として中国からの留学生で博士課程在籍のコウ・セイブンの3名が参加しました。
 大岡診療講師からは、日本および北海道内の心臓移植および補助人工心臓治療の実際や現状について、新宮講師からは臓器移植の臨床的観点を絡めた、心筋保護・冬眠心筋に関する基礎的研究、脳死下臓器移植の現状についてのプレゼンテーションが行われました。
 持参した模擬回路を用いた補助人工心臓(HeartMate II®およびHeartmate3®)の実機が駆動する様子を実際に観察していただきました。

質疑応答時間は30分を超え、多岐にわたる白熱したものとなり、予定実施時間を大きく上回った約2時間の講演となりました。
通常授業が終了した時間にもかかわらず、多くの中高生にご参加頂き誠に有り難うございました。質疑応答の内容には、思わずうなってしまうような鋭い内容もあり、我々医療者への刺激ともなりました。

大岡診療講師による心臓移植および補助人工心臓治療に関する説明
新宮講師による心臓保存研究による説明
模擬回路を用いた補助人工心臓の実際の駆動状況を観察

渡部 克将先生(現 王子総合病院心臓血管外科 勤務)の論文が掲載されました。

Surgical repair of a residual lesion of mixed-type total anomalous pulmonary venous connection using a vertical vein as a free graft: a case report.
Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2023 Aug 24. doi: 10.1007/s11748-023-01973-0. Online ahead of print.

https://gtcscases.biomedcentral.com/articles/10.1186/s44215-023-00107-5

2024.09.16
第7回北海道外科関連学会機構合同学術集会HOPES2024開催
2024.07.10
北海道大学外科学第二講座開講100周年記念 市民公開講座開催(令和6年8月10日)のお知らせ
2024.06.24
<<若狭教授がTVに出演しました>>
2024.06.18
Best Specialized Hospitals Asia-Pacific 2024(BSHAP2024)に選出されました
2024.05.20
令和6年度第1回手術体験セミナー&教室説明会開催
2024.04.12
<<論文掲載のお知らせ New Publication>>
2024.03.18
令和6年度第1回手術体験セミナー&教室説明会開催のお知らせ
2024.02.23
<<論文掲載のお知らせ New Publication>>
2023.11.20
札幌開成中等教育学校でアウトリーチ活動を行いました
2023.08.25
<<論文掲載のお知らせ New Publication>>